Amazon Prime Video チャンネル「エンタメ・アジア」の開局1周年を記念して、Cinem＠rtで数多くの記事を執筆してきた中国ドラマ有識者の３名にお集まりいただき、座談会を開催！　まずは、エンタメ・アジアで配信中の中国ドラマを中心に、オススメ作から個人的に好きな一本まで自由にお話いただきました。

参加者　※プロフィールはページ下部
小酒真由子さん（ライター）
沢井メグさん（ライター/中国語翻訳者）
島田亜希子さん（ライター）

１本目　「山河令」は宝塚が好きな方にもオススメしたい！

―　本日はお集まりいただきありがとうございます！　これからいくつかのテーマでお話しいただきたいのですが、まずは「鉄板作品、隠れた名作、個人的に大好きな1本まで！ エンタメ・アジアに加入したら観てほしい中国ドラマは？」ということで、御三方のオススメ作や好きな作品を教えてください。

沢井メグさん（以下、沢井）　私のオススメ作品は「山河令」です。

沢井　「山河令」は、前半の楽しさから後半のしんどさへのアップダウンにやられました。とにかく感情のふり幅が凄くて……コロナ禍でなかなか外に出られない中、リアル以上に様々な感情を楽しめましたね。エンタメ・アジアでの配信も始まったので、今は好きなシーンをつまみながら楽しんでいます。

―　よくご覧になっているお好きなシーンは？

沢井　よく前半のわちゃわちゃシーンを見て癒されています。いろいろあるのですが、例えば3話で温客行が客桟を貸し切ってしまうエピソード。最後はケンカしつつも結婚式の交杯酒みたいになって、キャー！って（笑）。

一同笑い

「山河令」より、いつのまにか交杯酒のようになってしまう周子舒と温客行
©Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd.

沢井　あとはCinem＠rtでの連載「「山河令」の台詞を読み解く」「中国の歴史・文化からひも解く「山河令」」も併せてお勧めしたいです。一周目は自由に見た方が良いかもしれませんが、深く掘るほど色々と出てくる作品なので、ぜひこの連載も併せて読んでほしいです。

―　連載を執筆された小酒さん、連載はいかがでしたか？

小酒真由子さん（以下、小酒）　とても大変でした！ 漢詩の解釈って日本と中国で異なる場合があるんです。だから、この連載では中国人の大部分が知る一般的な解釈で解説することを心がけました。個人的にも「山河令」が好きなので、改めてこの作品の奥深さにいろいろと気づくことができ、得難い経験になりました。

―　そんな小酒さんのご苦労もあって、この連載は本当に反響が大きかったです。

沢井　反響が大きかったの、凄く分かります。これを読んで、すっと胸におちたということもありました。

―　島田さんは、「山河令」はいかがでしたか？

島田亜希子さん（以下、島田）　私は悪役チームを好きになることが多いのですが、「山河令」だと毒蝎チームが好きでした。特に蝎王君と趙敬パパの関係が気になってしまって……。

一同笑い

   
「山河令」より蝎王と趙敬　©Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd.

小酒　趙敬と蝎王は義父・義子の関係ですが、あれは囲っているという事ですよね!? しかも、囲っている男の子が蝎王一人じゃない。

―　そういえば、趙敬パパが若い男の子に爪のお手入れをしてもらっているのを、蝎王が見つけてしまうシーンがありましたね！

小酒　爪のお手入れっていうのがすでにちょっとエロくないですか？

一同笑い

「山河令」より　©Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd.

島田　蝎王を演じたリー・ダイクン（李岱昆）は「山河令」で一躍注目を浴びましたが、「山河令」は俳優を発見する楽しさもありますよね。武侠モノなので、たくさんの魅力的な猛者が出てきますから。

沢井　あと……私、「山河令」は宝塚が好きな方にぜひお薦めしたいんです！

一同　おーーー！

沢井　私、宝塚ファンでもあるのですが、周囲の宝塚ファンに「山河令」を勧めていて。例えば、アナザーエンディングのラストシーンは宝塚に通じるものがあると思うんです。実際に宝塚ファンの友達に「山河令」のラストをプレゼンしたところすごく盛り上がったので、かなり可能性を感じています（笑）。

２本目　「太陽と月の秘密」は切なさが爆発しています

小酒　私からは「太陽と月の秘密～離人心上～」もぜひオススメしたいです。

小酒　私、ヒロイン徐初月を演じたフー・イーシュエン（胡意旋）がお気に入りで。本作では干支に変身するキャラクターなのですが、その変身コスプレは彼女の小動物的な可愛さが活きてるんです！ 彼女は「ご主人様はツンデレ殿下」でも猫に変身していたので、彼女のキャスティング理由には“動物が似合う”があったんじゃないかと思っています。

あと、理性的なツンデレ将軍・薛曜（ジェン・イェチョン/鄭業成）が無邪気な初月に溺れていくのもキュンポイントなんですが、初月の血の繋がらない弟・徐星辰（ヤン・リン/楊霖）との三角関係も推したいですね。

「太陽と月の秘密～離人心上～」より、薛曜と徐星辰　ⓒJetsen Huashi Wangju Media Co., Limited

星辰は純情すぎて、最初は自分の思いが恋だと気がつかない。でも次第に恋心を自覚して、どんどん切ないことになって……。薛曜に恋する初月を見て、星辰が心の中で「恋してる姉上はきれいだ」とつぶやくシーンがあるんですが、その瞬間、私の頭で鳴り響いたのがOfficial髭男dismの「Pretender」。

一同笑い

小酒　歌詞がそのまんま星辰！みたいな。こういう設定って他にもあると思いますが、このドラマは切なさが爆発しています。あと、ヒロインを愛する3人目の男性の存在もあって……ネタバレになるので言えませんが、このエピソードもめちゃ泣けます。すごく好きな、切な系純愛ラブストーリーです。

―　実は「太陽と月の秘密～離人心上～」は業界内でも「面白い！」と褒めていただくことが多い作品で。派手な作品ではないですが、隠れた名作ですよね。

３本目　「夢幻の桃花」は、もふもふ好きキャラが見逃せません！

―　島田さんの挙げたい作品は何でしょうか？

島田　私は「夢幻の桃花～三生三世枕上書～」を挙げたいと思います。

エンタメ・アジアで桃花シリーズ3作品（「永遠の桃花」「運命の桃花」「夢幻の桃花」）が見放題なので、一気見してほしいなと思って。特に「永遠の桃花～三生三世～」は繋がりが強い作品なので、見比べても楽しいと思います。

―　島田さんはどのシーンがお好きですか？

島田　東華帝君が白凰九にメロメロになっていくのを楽しむのもいいのですが、悪役好きとしては、聶初寅（ダイ・シャンユー/戴向宇）が出てくるシーンが好きです。白凰九のしっぽを騙し取って天宮チームにお仕置きされちゃったり、帝位継承の儀式に乱入して東華帝君にコテンパンにされたり。

―　私、お好きなキャラで聶初寅を挙げる方に初めてお会いしたかもしれません。

島田　もふもふ好きなの良くないですか？　「あのしっぽ欲しいよね！」とか思います（笑）。

一同笑い

「夢幻の桃花～三生三世枕上書～」聶初寅
©2020 Tencent Penguin Pictures(Shanghai) Co.,Ltd

小酒　私も同じく魔界チームの煦暘が好きです。演じているジン・ザーハオ（金澤灝）は密かに好みのタイプなんです。

島田　「夢幻の桃花」は魔界チームも魅力的なんですよね。エンタメ・アジアでご覧になる際は、ぜひそこも注目してほしいなと思います。

「夢幻の桃花～三生三世枕上書～」より煦暘（ジン・ザーハオ）
©2020 Tencent Penguin Pictures(Shanghai) Co.,Ltd

《中国ドラマ有識者がオススメする、6本のハマる中国ドラマ ＜後編＞【座談会＃２】へ続く》